再録:びん
2005年12月16日
僕の描く絵葉書は、すごく評判がいいんだ。
古いお寺や、きれいな公園を背景にして、その場で
お客さんの似顔絵を一緒に描き込んでしまってるもんだから。
すごく暑い日だった。
あんまり暑いんで、お客さんもサッパリ。
とぼとぼとアパートに帰る途中、誰かが僕を呼んでるような
気がした。振り返ると、そこには、小さなパン屋が一軒あった。
店先の冷蔵庫には、びん入りの牛乳が、ずらりと並んでいた。
ひゃあ、うまい!!
ポケットの中身は、軽くなっちゃったけど、まぁ、いいか。
ふぅっと疲れがとけていって、僕は、そのまま眠ってしまった。
牛乳びんって、じっくりと見ると結構きれいな形をしてる。
そのまま捨てちまうのも、何だかもったいないな。
きちんと洗って花瓶にする事にする。
殺風景だった部屋が、そこだけ明るくなったような...
さて、今日も元気に、お仕事、お仕事。
昨日とは、大違いの大忙しの一日だった。
ポケットは、ずっしり。でも、荷物は軽い。
「ただいまぁ!」と、誰もいない部屋のドアを勢いよく開けると...
どうなってるんだ!?
「大屋さん!花が、花一杯で!!!」
僕は、花を握りしめたまま、けげんそうな顔の大屋さんを
連れて戻ってきた。
僕が、そっとドアを開けると部屋の中は、いつもと同じ。
からっぽのままだった。
おかしい、この牛乳びんに何かを入れると増えたりするんじゃないよな。
もしそうだとしたら、金貨なんか増えないよな...
チャリンと1枚、金貨をびんの中に入れた。
そして、じっとびんとにらめっこを続けた。
いいかげん疲れてきて、目を離した途端。
ヂャラヂャラと景気のいい音がして、びんから金貨が溢れ出してきた。
ラッキー!!
僕は、金貨をポケットに詰め込んで、
早速、お祝いのケーキを買いに駆け出した。
部屋の中の金貨の山。
さぁ、次は何を買おうかな?
わくわくしながらドアを開けると...
あれ??
夢だったのかな?テーブルの上には、ぽつんと空っぽの牛乳びんが
あるだけだった。
金貨をもう一度、びんに入れて目をつぶって見る。
派手な音がして、また部屋が金貨で一杯になる。
じゃあ、金貨をびんから取り出すと...
今度は、部屋から金貨が消える。
なるほど...
ぼくは、一枚の絵を描いて、びんの中に入れてみた。
小さなノックの音がした。ドアを開けると、そこには
小さな青竜が、しっぽの先から絵の具を垂らしながら
小さな花束を大事そうに抱えて立っていた。
大当たり!!
思った通りだった。
びんに何かを入れると、そこから取り出すまでは、
色んな事がおきるんだ...ろう...たぶん...
まぁ、よくわからないけど。
面白いから、いいか...
ともかく、僕は、僕の描いた絵と同じ青竜と二人で、
さっきのケーキでお茶にする事にした。
でもって、
僕も青竜も、夢中で、色んな物を描いては、びんの中に詰め込んでいった。
窓の外が、妙ににぎやかなので振り返って見ると
「あ、おとうさんだ!!」
青竜は、しっぽをパタパタ振りながら叫んだ!!
僕らは、思い付くまま色んな物を描いては、びんに詰め込んでいった。
描いた絵がびんに入っていくたびに街は、姿を変えていった。
花火の絵を描いて、無理矢理びんに押し込もうとした時
メリッという音がした。
亀裂が走ったと思うと、バラバラと絵がテーブルの上に落ちた。
窓の外の大騒ぎは、ピタリと止まった。
恐る恐る窓の外を見ると、街は、元の姿を取り戻していた。
僕は、びんのかけらを庭に埋めると、
つまらなくなって眠ってしまった。
うとうとしてると、どこからか誰かが僕を呼んでいる声がする。
庭を見ると、昨日びんを埋めたあたりから奇妙な木が生えていた。
さて、今度は、どうしたものやら。
古いお寺や、きれいな公園を背景にして、その場で
お客さんの似顔絵を一緒に描き込んでしまってるもんだから。
すごく暑い日だった。
あんまり暑いんで、お客さんもサッパリ。
とぼとぼとアパートに帰る途中、誰かが僕を呼んでるような
気がした。振り返ると、そこには、小さなパン屋が一軒あった。
店先の冷蔵庫には、びん入りの牛乳が、ずらりと並んでいた。
ひゃあ、うまい!!
ポケットの中身は、軽くなっちゃったけど、まぁ、いいか。
ふぅっと疲れがとけていって、僕は、そのまま眠ってしまった。
牛乳びんって、じっくりと見ると結構きれいな形をしてる。
そのまま捨てちまうのも、何だかもったいないな。
きちんと洗って花瓶にする事にする。
殺風景だった部屋が、そこだけ明るくなったような...
さて、今日も元気に、お仕事、お仕事。
昨日とは、大違いの大忙しの一日だった。
ポケットは、ずっしり。でも、荷物は軽い。
「ただいまぁ!」と、誰もいない部屋のドアを勢いよく開けると...
どうなってるんだ!?
「大屋さん!花が、花一杯で!!!」
僕は、花を握りしめたまま、けげんそうな顔の大屋さんを
連れて戻ってきた。
僕が、そっとドアを開けると部屋の中は、いつもと同じ。
からっぽのままだった。
おかしい、この牛乳びんに何かを入れると増えたりするんじゃないよな。
もしそうだとしたら、金貨なんか増えないよな...
チャリンと1枚、金貨をびんの中に入れた。
そして、じっとびんとにらめっこを続けた。
いいかげん疲れてきて、目を離した途端。
ヂャラヂャラと景気のいい音がして、びんから金貨が溢れ出してきた。
ラッキー!!
僕は、金貨をポケットに詰め込んで、
早速、お祝いのケーキを買いに駆け出した。
部屋の中の金貨の山。
さぁ、次は何を買おうかな?
わくわくしながらドアを開けると...
あれ??
夢だったのかな?テーブルの上には、ぽつんと空っぽの牛乳びんが
あるだけだった。
金貨をもう一度、びんに入れて目をつぶって見る。
派手な音がして、また部屋が金貨で一杯になる。
じゃあ、金貨をびんから取り出すと...
今度は、部屋から金貨が消える。
なるほど...
ぼくは、一枚の絵を描いて、びんの中に入れてみた。
小さなノックの音がした。ドアを開けると、そこには
小さな青竜が、しっぽの先から絵の具を垂らしながら
小さな花束を大事そうに抱えて立っていた。
大当たり!!
思った通りだった。
びんに何かを入れると、そこから取り出すまでは、
色んな事がおきるんだ...ろう...たぶん...
まぁ、よくわからないけど。
面白いから、いいか...
ともかく、僕は、僕の描いた絵と同じ青竜と二人で、
さっきのケーキでお茶にする事にした。
でもって、
僕も青竜も、夢中で、色んな物を描いては、びんの中に詰め込んでいった。
窓の外が、妙ににぎやかなので振り返って見ると
「あ、おとうさんだ!!」
青竜は、しっぽをパタパタ振りながら叫んだ!!
僕らは、思い付くまま色んな物を描いては、びんに詰め込んでいった。
描いた絵がびんに入っていくたびに街は、姿を変えていった。
花火の絵を描いて、無理矢理びんに押し込もうとした時
メリッという音がした。
亀裂が走ったと思うと、バラバラと絵がテーブルの上に落ちた。
窓の外の大騒ぎは、ピタリと止まった。
恐る恐る窓の外を見ると、街は、元の姿を取り戻していた。
僕は、びんのかけらを庭に埋めると、
つまらなくなって眠ってしまった。
うとうとしてると、どこからか誰かが僕を呼んでいる声がする。
庭を見ると、昨日びんを埋めたあたりから奇妙な木が生えていた。
さて、今度は、どうしたものやら。
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