またぞろ「3D元年」なぞと言う実しやかな言い回しが耳障りで仕方が無いんだけれども^_^;

人間が立体像を認識する際に必要なのは、2種類の異なった画像。
左右二つのカメラ(目でも同じ)を約10cm程度平行な位置から撮影したもの。
二つの画像を重ねると、必ずブレが生じる。
そのブレの度合いを脳が奥行き情報として処理する。

これが普通に見えている世界。
勿論、学習的な要素も実際の判断の際には付加される。
例えば、輪郭の重なり具合。
他の輪郭に遮られない物は、より前に。
重なりは無くても、大きさを把握しているモノが他と比較して小さく見えれば、より後ろにと言った具合。
リアルでは、時間軸が加わる為に輪郭の重なり具合と大きさは変動するから、時間の経過に伴い輪郭が大きくなれば近づいていると感じられるのも、どの時点かは諸説あろうが学習の結果。
2眼で一枚の画像を見た際に奥行き情報を含めて感じ取れるのは、純粋に学習結果だ。(だから逆に単眼で一枚の画像から奥行き情報を感じ取れるのも同様)

で、
見世物としての立体視の仕組みは、写真の技術が生まれる以前から全く変わっていない(流石に手書きで、コレを遣るのには、かなりのスキルが必要だから実例は少ない...筈だけどなぁ)

奥行き情報を誤認させる。

方法は、2眼それぞれに入る画像を本来のものとは異なったモノにするだけだ。
大画面映像の場合、方法は2つしかない。
一つは、画面そのものにフィルターをかませる事で、そのまま見ても不思議な奥行き間を体験できる(最近のデジカメや数年前の携帯電話のディスプレイで使用された技術)フィルターの特性にもよるけれどもソース画像は左右それぞれを1枚にミックスされたものが使用されている。
この場合、画像の解像度は残念ながら1/2以下となり、どうしても画質そのものは格段に落ちる。
もう一つは、眼鏡型。
ソース画像は、同時(正確には1/24秒以下のサイクルの場合もある)に2種類のものが流されるのだが、偏向フィルターまたは機械的なシャッター機能のついたビュワーにより、左目と右目それぞれに映る画像を人為的に全く別のものに切り分けることで実現している。
(似たような仕掛けで、ごく身近なものとしては眼鏡屋や警察で免許更新の際などに使われる視力測定器があるかな?あれは、両目を開いた状態で、それぞれの眼に映る違う画像により一度に視力を計測している)

画面そのものにフィルターを取り付ける場合のメリットは、視聴者側に特別な装置を必要としない手軽さにあるのだが、構造上、フィルターのある位置を0層とした場合、それ以上に「飛び出す」効果が得られないという見世物としての「新鮮さ」が薄い。
それに比べて、各種イベントやテーマパークで上演され続けている赤青眼鏡や偏光フィルター眼鏡による映像の場合、文字通り目の前にまで「飛び出す」効果が得られる。
従来の3D映像の演出は、基本的に「お化け屋敷」的な見世物としての「びっくり」感にのみ重きを置いていた為、2眼の視差を強調していた。
ここには一つの落とし穴があって効果が強烈であればあるほど、脳の認識系に付加がかかるという問題である。(実際に、この手のイベント物では必要以上に「健康上の注意」が呼びかけられると同時に、尺そのものも短くせざるを得なかった...実証データを取る訳にもいかないから。)

でだ、
この作品の場合、3時間弱と言う(いや昨今のフルCGのお子様向けってのは何本かあるけれど、あの場合、2Dのキャラクターと同じ程度に輪郭線が単純化されているから同じ基準は持ち込むべきではないと言う意味で)長尺で実写(マンガではないという意味)で、体調不良の事例も%以下に押さえ込むと言う代物に仕上がっている...
これは、
実にトンデモナイ話で、確信犯的に誤認識を制御しきった演出の極みだと思う。
ストーリーは普通だし、尻は痛くなったけども、眼精疲労による頭痛はおきなかったから^_^;

思うんだけどね、
ターミネーターもタイタニックも忘れ去られるタイトルだけど、アバターって体験だったんじゃないだろうか?
(実際には3D上映された比較的ビッグタイトルも無い訳ではないんだけども、ワールドワイドで興行成績も含めて、とにかく見てしまった人の爆発的な増加速度も含めて)

これは一度は、大画面で見ておくべき(それ以前に、かなり手を入れないとTVモニタでは、この誤認は再現できない...筈)代物だと思うw

コメント

もりのいずみ
2010年2月4日12:30

普段、自分から映画見に行こうなんて言ったことのないダンナから「行こう行こう」とやけに熱心に誘われて、「とにかく見てしまった人」の一人となりました。
そして、私の感動ポイントはまさに
>ストーリーは普通だし、尻は痛くなったけども、眼精疲労による頭痛はおきなかった
でした(笑)
確かに、現代を生きる者の経験としては悪くなかったな~と思ってます。

kaj
2010年2月4日12:42

「もりのいずみ」さんへ

次はティムバートン&ジョニーディップの「不思議の国のアリス」でしょう♪

一応、オリジナルストーリーと言う事になってますし、このコンビが同じ土俵でどんな仕事をしてくれるのかと今から楽しみです。
...多分、偏光眼鏡は同じものが使えるはずなんだけど。今回の持参すれば、その分値引きになると、ちょっと嬉しいですかねぇ。

猿滑骸骨
猿滑骸骨
2010年2月4日20:06

この映画、3Dじゃないとどんなものか。家の液晶画面ではどうなのか。それでも面白いのかというところに興味ありで、ビデオの発売を楽しみにしています。ステレオタイプのストーリーですが骨太ですね。さすが。

次は原爆の映画を作るらしい。実現すればすごい。滅茶苦茶な迫力でしょう。

ポチ
ポチ
2010年2月5日9:03

同じく「とにかく見てしまった」ポチです(笑)

kajさんはメガネ持って帰れたんですか!?
わたしが行ったところは返却しなきゃいけなかったんですよ…。
違うタイプのものだったんでしょうか。
+300円でメガネを買うんだと思ってたので
「返すの!?」とビックリしてしまいました(^_^;)

わたしはちょっと疲れちゃいましたけど
それでも一見の価値有りだなぁと思います。
職場のパートさんにも勧めてしまいました☆
(わたしはもういいけど…とかいいながら。笑)

kaj
2010年2月5日9:51

「猿滑骸骨」さんへ

ゲンちゃんの映画ですか...東宝のノストラダムスの大予言の映画版みたいにならなければ良いんですけどねぇ。
ちなみにDVDで発売されるときは、眼鏡つきで販売されると思いますよ。
(あれって、画面サイズによって多少偏光フィルターの調整が必要なはずですから)でもって、通常版と3D版がセット売りかなぁ??

でも、最近のご家庭では平気で100インチ以上を使用されているところもあるはずなので、そうなってくると難しそうですねぇ(あ、ヘッドマウントディスプレイで見たらどうなるんだろう?そっちの方が興味ありますw)

kaj
2010年2月5日9:53

「ポチ」さんへ
...え、回収されたんですか??
あれって、使いまわすとしたら原則、殺菌消毒しなくちゃならないタイプの代物なので却って高くつくと思うんですが...言迷。

私も知り合いには必ず、一度は「体験」しておきなさいと執拗に迫ることにしてます♪

ねこ
2010年2月7日21:29

3Dじゃないところで観ました(笑)
田舎なので市内では3D上映してなくて。
この大雪が無くなるまで3D上映してるところには行けそうもありません…
あ、3Dじゃなくても映像は綺麗でしたよ。ええ。

…メガネonメガネになるのでちょっと3Dも不安はあります。
鼻痛くなりそう。

ミカエル
2010年2月7日22:56

最近、カジさん、タイトルが優しいイメージになりましたね♪
去年は、なんだか、朝、拝見すると、
気分がメロウな、陰鬱になりそなタイトルばっかりだったけど♪

kaj
2010年2月8日9:03

「ねこ」さんへ

そうですねぇ3Dの部分は、ある意味、人体実験もかねてた訳ですから^_^;
映像としても十分に綺麗だったと思います。
ちなみに、3D映像用の眼鏡は女房が、その「メガネonメガネ」でしたが「疲れなかった」と言ってましたよ♪

ちなみに、どうやらスクリーンにあわせて「眼鏡」は4種類存在するようで、↑での遣り取りが発生したと言う言う訳です。

kaj
2010年2月8日9:06

「ミカエル」さんへ
おひさですm(__)m
タイトルですか...そう言っていただけると妙にくすぐったいかなぁ。
まぁ、
何せ気紛れな猫ですから、どう転がって行くか私自身にもわかりませんが、良しなに~
kaj

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